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UPDOWN  俳句          UPDOWN  作者名

ああいへばかういう兜太そぞろ寒 鷹羽狩行
いそがしきことのさみしきみそさざい 鷹羽狩行
いつせいにきのこ隠るる茸狩 鷹羽狩行
うすものの中より銀の鍵を出す 鷹羽狩行
しあわせに目もあけられず花吹雪 鷹羽狩行
しがらみを抜けてふたたび春の水 鷹羽狩行
つねに一二片そのために花篝 鷹羽狩行
みちのくの星入り氷柱われに呉れよ 鷹羽狩行
スケートの濡れ刃携へ人妻よ 鷹羽狩行
バード・ウィーク湖の際まで深緑 鷹羽狩行
ピーチパラソルの私室に入れて貰ふ 鷹羽狩行
一対か一対一か枯野人 鷹羽狩行
七夕や別れに永久とかりそめと 鷹羽狩行
乗りてすぐ市電灯ともす秋の暮 鷹羽狩行
人の世に花を絶やさず返り花 鷹羽狩行
全長に回りたる火の秋刀魚かな 鷹羽狩行
初笑ひゆゑの涙と思はれず 鷹羽狩行
勤めあるごとく家出て春の泥 鷹羽狩行
十薬や才気ささふるもの狂気 鷹羽狩行
叱られて姉は二階へ柚子の花 鷹羽狩行
噴水や人より多き鳥の恋 鷹羽狩行
地下街に鮮魚鮮菜文化の日 鷹羽狩行
大寒を選びしごとく逝きたまふ 鷹羽狩行
大言海割つて字を出す稿始め 鷹羽狩行
天瓜粉しんじつ吾子は無一物 鷹羽狩行
夫とゐて冬薔薇に唇つけし罪 鷹羽狩行
妻と寝て銀漢の尾に父母います 鷹羽狩行
妻へ帰るまで木枯の四面楚歌 鷹羽狩行
山みちはみな山へ消え西行忌 鷹羽狩行
廻されて電球ともる一葉忌 鷹羽狩行
摩天楼より新緑がパセリほど 鷹羽狩行
新しき家はや虻の八つ当り 鷹羽狩行
新緑のアパート妻を玻璃囲ひ 鷹羽狩行
日と月のごとく二輪の寒椿 鷹羽狩行
村々のその寺々の秋の暮 鷹羽狩行
枯野ゆく最も遠き灯に魅かれ 鷹羽狩行
母の日のてのひらの味塩むすび 鷹羽狩行
汲みあぐるほどに湧き出て若井かな 鷹羽狩行
流星の使ひきれざる空の丈 鷹羽狩行
海坂の暮るるに間あり実朝忌 鷹羽狩行
淡からず白夜の国のシャンデリア 鷹羽狩行
湖(うみ)といふ大きな耳に閑古鳥 鷹羽狩行
白梅の万蕾にさすみどりかな 鷹羽狩行
秋風や魚(うを)のかたちの骨のこり 鷹羽狩行
稿始め楔のごとき一語欲り 鷹羽狩行
立てば雪女郎坐れば遣手婆 鷹羽狩行
紅きもの欲り且つ怖れ雪女郎 鷹羽狩行
紅梅や枝々は空奪いあひ 鷹羽狩行
舷梯をはづされ船の蛾となれり 鷹羽狩行
花冷えや昼には昼の夜には夜の 鷹羽狩行
   
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