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UPDOWN  俳句          UPDOWN  作者名

ああといひて吾を生みしか大寒に 矢島渚男
さびしさや撞けばのどかな鐘の音 矢島渚男
じやが薯を植ゑることばを置くごとく 矢島渚男
むらさきになりゆく二羽の青鷹(もろがへり) 矢島渚男
われよりも年寄る海鼠食ひにけり 矢島渚男
アルプスの濡身かがやく桃の花 矢島渚男
囀りの美しかりしこと閨(ねや)に 矢島渚男
大鮟鱇触つてみれば女体かな 矢島渚男
天の川小さくあれど志 矢島渚男
天高く妻にゆまりのところなし 矢島渚男
姫はじめ闇美しといひにけり 矢島渚男
戸隠や顔にはりつく天の川 矢島渚男
教壇は十歩に足らず黄落す 矢島渚男
数へ日のこころのはしを人通る 矢島渚男
春の葦軍港といふ陰部あり 矢島渚男
梟の目玉見にゆく星の中 矢島渚男
炎天に尻うち据ゑて栄螺割る 矢島渚男
炬燵に顎のせ友恋か山恋か 矢島渚男
父がまづ走つてみたり風車 矢島渚男
背泳ぎにしんとながるる鷹一つ 矢島渚男
臍の緒を家のどこかに春惜しむ 矢島渚男
船のやうに年逝く人をこぼしつつ 矢島渚男
行秋のとんぼにとまるとんぼかな 矢島渚男
遠くまで行く秋風とすこし行く 矢島渚男
金木犀妻の里訪ひ妻に逢ふ 矢島渚男
鶏頭をこづいて友のきたりけり 矢島渚男